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投稿日2010年11月30日

鳥取 全国・鏝絵なまこ壁 サミット

11月6~7日 鳥取県倉吉市 倉吉未来中心 大ホールに於いて
「全国・鏝絵なまこ壁サミット in とっとり2010」 が開催されました。

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この企画は、鳥取県 鏝絵なまこ壁文化推進協議会が主催し
息づく左官職人の技と魅力的な左官文化を紹介するビックイベントです。
大きな会場は多くの参加者で熱気が溢れています。

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6日には、建築家 早稲田大学理工学部教授 石山修武氏の
「職人のワザによるまちづくり!」をテーマに基調講演が行われ、
その後、地域からの報告で「鏝絵なまこ壁でまちつくりを!」と題して、
静岡県松崎町、大分県安心院、富山県小杉町、広島県広島市、
鳥取県大田市 鳥取県と各エリアからの興味深い報告が行われました。

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そして最後に、石山修武氏、写真家藤田洋三氏、左官職人挾土秀平氏、
司会に鳥取大学准教授の五島朋子氏を迎えパネルディスカッションが行われ
ました。石山、藤田、挾土、三氏の左官の可能性を熱く語る姿がとても印象的でした。

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翌日7日は待ちに待った見学会です。
小グループを何班か編成して「蔵リズム・ツアー」の始まりです。
昨年は西エリアの大山北麓を巡りましたが、今回は東エリアの鹿野町や八頭町を
文化推進協議会の宮本氏、木谷氏のご案内で見学しました。

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最初に倉吉白壁通りの散策です。

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粋な街作りに行く先々で歓声が上がります。
美しい漆喰白かべの街は本当に良いものです。

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蔵のある猪子の大庄屋 奥田邸にお邪魔します。
先ずは見事な庭園に言葉を無くします。
色づく木々に秋の気配を感じながらの蔵リズム・ツアーは最高です。

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さあ、亀甲なまこ壁をまとった明治期の文庫蔵の登場です。

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こちらのエリアは瓦を貼り付けた仕様が多く、しっかりと瓦を押さえた
ふくよかな力強いなまこが実にカッコ良く迎えてくれました。

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八頭町破岩の歳岡邸の蔵です。
大正時代に造られ、20~25年前に上田左官様により
漆喰の塗り替えがおこなわれたそうです。

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上田左官の自信作、七宝なまこがきっちりと仕上がっています。
しかし手入れの良いこと、とても綺麗です。

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八頭町船岡の中原邸の蔵です。

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安政5年の蔵で、平成19年に山根左官様の手により修復されました。
剣先玉七宝なまこ仕上げと見事な鏝絵の組み合わせで、
見ている者を飽きさせない出来映えです。

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八頭町北山の山根邸の蔵です。
平成16年 古いRC造を現代の建築技術で作り上げた物です。

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上田左官様、山根左官様が技を駆使して施工したなまこ壁を前に、
山根氏ご自身が見学者に案内をして下さいました。
お施主様が鏝絵の第一人者に自由に十二支等の施工を任せた作品で、
鏝絵の数は日本一だそうです。

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江戸後期に建てられた現役の民家です。
ご覧のように懐かしい囲炉裏が燻る雰囲気、空気に心が洗われていく気がします。
忘れ欠けている何か大事なものを思い出した蔵リズム・ツアーでした。

鏝絵なまこ壁文化推進協議会の皆様、大変お疲れ様でした。
心に残る鳥取のなまこ壁の世界を充分に楽しませていただきました。
そして、本物を見る事の大事さを痛感しました。
ありがとうございました。
皆様の今後の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

※ソムリエ雑記再録のため現在と異なる情報が掲載されている場合がございますのでご了承ください。

土と石灰のソムリエ

冨澤 英一

富沢建材株式会社代表取締役。1953年東京都中野区生まれ。昭和26年に父が創業した建材店を2代目として継ぐ。顧客であった左官・故榎本新吉さんに幼少のころから可愛がられ、その縁で『左官教室』元編集長・小林澄夫さん、左官・久住章さん、全国各地で活躍する多くの名工、名人に出会う。以降、左官の技や自然素材に惹かれ、熱心に各地に足を運び、そこで産出する土や砂、石灰などの左官材料を集め、販売している。

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