山本忠和 パオ連続講座
パオ連続講座 「左官仕事、どろり好奇」
4月18日(日)に東中野のキャラバンサライ パオに於いて、
連続講座第2回目が、京都の強者 山本忠和氏をお迎えして
開催されました。
開始前の会場で準備を進める山本氏に、次回講師の小沼充氏も
駆け付けてエールを送っていました。
大の仲良し、東西の若手代表のご両人は、良きライバル、
良きパートナーとして、互いに尊敬し合い切磋琢磨して新しい左官を
創造し、塗り壁の未来を明るくしてくれる逸材です。
山本氏オリジナルの塗板サンプルや素材サンプルも各テーブルに
置かれ、準備完了です。
さあ講座開始です。
お題目は「技の数々」
山本氏が社寺、住宅、店舗、そして豪邸と腕を振るった写真を
スクリーン一杯に写し出します。
そこで駆使した技について木村謙一氏の美術家的インタビューで、
次々と披露されていきます。
京都の重要文化財 安楽壽院の土塀復元工事では、かなり状態の悪かったものを、
正確な診断と高度な技術をもってして見事に蘇らせました。
一切手を抜かない見事な仕上がりは素晴らしいの一言!
お弟子さんにも叩き込まれた山本流左官魂が見え隠れする秀作です。
技術面や仕上げの表現でもそれぞれの建物に合わせた
施工を考えていて、一例は、壁一面を縦3等分に分けて、
両端は横にほうき引きで仕上げ、中央は掻き落としにする事で
生きた壁にする。
又は外壁内壁の角面全てを丸面の仕上げをした家などは、
壁一面の縁が切れない為、一気に通しで仕上げなければならず
施工が大変だけど、とても可愛い愛着の湧く家になった事など
現代風の仕上げにも持てる技を大いに発揮されています。
山本氏曰く、
「本来、住宅の施工においてもきっちりとした壁を塗るのが好きです。
予算の有る豪邸の壁も沢山塗って来ましたが、逆に予算の無い
現場でもどうやって仕上げようか悩むのも面白いですね。」
お施主様を思うとても優しい言葉ですね。 感激しました!
休憩の合間も色々な質問に分かり易く答える山本氏です。
参加者は設計の先生が多く、塗板見本や店舗内の実際の
塗り壁を見ながら、デザイン性、機能性、施工に付いてレベルの
高い意見交換が行われていました。
インタビュアーの木村氏が山本氏のことを、
「何しろこの人、凄腕ですから!」 とキッパリ!!
鏝を左右両手で使いこなし、伝統的工法から現代の
建築に合う仕上げまであらゆる左官の技能をこなし続ける
カリスマ左官なのです。
山本氏、木村氏のノウハウと魅力溢れるお人柄にたっぷりと
触れさせていただきました。
いやー、大変勉強になりました。
と同時に今までの左官の講習会とは一味違うとても 「楽しい」
講座でした。
講座修了後には希望者で懇親会がおこなわれました。
山本忠和様、木村謙一様、お疲れさまでした。
次回が待ち遠しいです。
皆様もいかがですか。
参加ご希望の方は 「パオ連続講座」 をご覧下さい。
※ソムリエ雑記再録のため現在と異なる情報が掲載されている場合がございますのでご了承ください。
冨澤 英一
富沢建材株式会社代表取締役。1953年東京都中野区生まれ。昭和26年に父が創業した建材店を2代目として継ぐ。顧客であった左官・故榎本新吉さんに幼少のころから可愛がられ、その縁で『左官教室』元編集長・小林澄夫さん、左官・久住章さん、全国各地で活躍する多くの名工、名人に出会う。以降、左官の技や自然素材に惹かれ、熱心に各地に足を運び、そこで産出する土や砂、石灰などの左官材料を集め、販売している。