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投稿日2011年11月24日

第12回 左官と鏝鍛冶の交流会

10月29日・30日 兵庫県篠山市 篠山技能高等学院に於いて、
篠山市左官技術研究会が主催する、
第12回 左官と鏝鍛冶の交流会が開催されました。

浅原雄三氏 久住章氏を講師にお迎えして、
大津磨き(直線、曲線)をテーマに実践的な研修が行われました。
この交流会は毎回殆どの参加者が鏝とパネルを持ち込み、
直にカリスマ講師の指導を受け技術を身に付ける事が出来る
左官道場的な貴重な場になっています。
時折、久住親方の厳しい言葉も飛び交う中、材料作りから真剣に
取り組む皆さんです。

磨き壁のメインステージには、浅原一郎氏がデモンストレーションを行っています。
父親の浅原雄三氏の技を引き継ぎ、更に進化させた京都ならではの稲荷山黄土
大津磨きのお披露目です。
黙々と作業をこなす姿はやはり父君に似ていますね。

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作業も終盤、ミンクで表面を拭き込む頃にはちりめん肌の何とも深みのある
大津磨きの完成です。

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会場中央では同時進行でへっつい(かまど)の磨きが行われました。
経験がものを言う曲面の磨きでは下塗りの重要な事は周知の通り、
教わる若手も緊張の面持ちで鏝を動かしています。

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ベテランの鏝さばきに参加者の目が釘付けです。

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完成まであと僅かです。
どこまで磨き鏝で極限まで追い込めるか、
「その辺で限界やっ!」
めくれるぎりぎりのところで久住氏の声が飛びます。
初めから終わりまでタイミングの勝負なのですね。

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そしてこの交流会の素晴らしい所は、
常に鏝鍛冶さんと話合いながら、相談しながら研修の出来るところです。
今回も三木市より梶原鏝製作所様、スギタ工業様が沢山の鏝を持ってきてくれました。
なかなか手に入らない、もしくは欲しかった鏝がその場で手に入るのです。
あらゆる行程の中でどの鏝が必要か、浅原氏、久住氏、その他の講師に、
各人に合ったものを相談に乗ってもらいながら選ぶことが出来るのです。
ハイレベルな篠山の交流会だから出来ることですね。

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実技終了後には恒例の鏝と色土についての勉強会が行われました。

土については京都の尾崎色土製造所の尾崎氏より説明がありました。

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それぞれの土の特徴や配合の例などを、講師の方々の経験も踏まえての
解説がありました。

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鏝についてはそれぞれの使う目的に合わせる為の形状、金質、固さ、など
塗る立場の左官さんと、作る鏝鍛冶さんの意見を聞きながら進める内容は
なかなか他では聞けない話が盛り沢山でした。
左官さんと鏝鍛冶さんのお話は本当に奥が深くて面白いのです。

夢中で拝聴するうちにあっという間に時間が過ぎてしまいました。
充実の交流会は、最後に賞品が当たる抽選会を行ってお開きとなりました。

篠山市左官技術研究会の皆様、浅原様、久住様、ご参加の皆様、
大変勉強になりました。ありがとうございました。
次回を楽しみにしております。

※ソムリエ雑記再録のため現在と異なる情報が掲載されている場合がございますのでご了承ください。

土と石灰のソムリエ

冨澤 英一

富沢建材株式会社代表取締役。1953年東京都中野区生まれ。昭和26年に父が創業した建材店を2代目として継ぐ。顧客であった左官・故榎本新吉さんに幼少のころから可愛がられ、その縁で『左官教室』元編集長・小林澄夫さん、左官・久住章さん、全国各地で活躍する多くの名工、名人に出会う。以降、左官の技や自然素材に惹かれ、熱心に各地に足を運び、そこで産出する土や砂、石灰などの左官材料を集め、販売している。

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