Skip to main content
投稿日2011年06月23日

群馬県左官実技講習会

群馬県左官工業協同組合・群馬県左官技能士会
群馬県左官工業協同組合青年部が主催する、
群馬県左官実技講習会が6月18日・19日に
左官研修会館で開催されました。

講師に、三重県の名工 松木憲司氏と石川県の名工 藤田秀紀氏を招き、
大津磨きとタデラクトの施工指導が行われました。

前橋市にある大変立派な群馬県左官会館です。

会場には沢山の実技用のパネルが用意され準備は万全です。
しかし、羨ましい設備ですね。
この講習会の成功がすでに見えているような左官モードが溢れています。

弊社もお声を掛けていただき書籍等の販売を行いました。

東京金広さんに講習会の内容に合わせた沢山の鏝を用意してもらい、
販売も行いました。
参加者の皆さん、真剣な眼差しで鏝を手に取ります。
名工が造り出した一級品に暫し見入って品定め!

いよいよ講習会がはじまりました。
最初に会議室において群馬県左官工業協同組合理事長 長谷川様の
これからを背負って立つ若い左官職人さんへ心のこもった激励の
ご挨拶がありました。

そして講師の、松木氏、藤田氏が紹介されました。
講習会に先立ち松木氏によるスケジュールの説明と、受講する心構えなど、
早速に熱弁を振るわれ、参加者の気持ちを盛り上げていました。

そして、実技会場に場所を移し、松木氏、藤田氏の両カリスマによる
大津磨きと黒漆喰磨きの模範施工が行われました。

両側に選抜された職人さんも加わり技のお披露目です。
そのテクニックに参加者の目が釘付けです。

施工の合間に鏝談議にも花が咲きます。
どうですか群馬県の若人の真剣な眼差し!
松木氏の説明にも力が入って来ました。

翌日実際に施工する参加者にとって、
一連の作業は片時も目を離せない貴重な実演風景です。

華麗な、且つ真剣勝負の鏝さばきに会場からはため息が出ます。

黒漆喰磨きを披露するのは藤田氏です。
施工中参加者から出る質問に丁寧に答えます。

自分の持てる技を分かり易く伝授します。

いざ鏝を握れば名工のオーラが立ち登ります。
動作一つ一つが見る人の心を引き付けていきます。

午前中で仕上げた作品はこの通り。
季節やその日のコンディションに大きく左右される大津磨きと漆喰磨きは、
とても高度な技術が要求されます。
この日は朝から雨模様で条件としては厳しい状況でしたが、
松木氏、藤田氏の豊富な経験と素晴らしいテクニックで見事に完成。
大いに勉強になった模範施工でした。

午後からはこれまた注目のタデラクトの施工です。
タデラクトはモロッコの水硬性石灰を使った磨き工法で、
その素晴らしさを、淡路の植田俊彦氏と一緒に日本国内に紹介する松木氏が、
初めて目にする参加者に丁寧に説明をします。

説明後、直ぐに用意された課題に調合したタデラクトの材料を
塗り付けます。

塗り付けた材料がほぼ締まった状態で、タデラクト施工独特の
硬い小石を使っての磨き作業に入ります。
くるくると小さく円を描くように石を動かし磨いていきます。

一通り小石で押さえ込んだら、次に撥水性能を与える為、
石けん水を刷毛で塗り付けます。

それをさらに擦り込むように小石で磨き込んでいきます。

徐々にタデラクト独特の凹凸を伴った美しい磨きの肌が
出来上がって来ました。

その魅力に若い左官職人さんが引き込まれていきます。

どうですかこの深みのある輝き!
参加者に笑みがこぼれる瞬間です。

こうして1日目の講習会は無事終了しました。
皆さんの熱心な左官愛の中であっという間に時の過ぎた一日でした。
明日2日目は参加者それぞれがチャレンジする予定だそうです。
今日学んだ事がきっと大いに役に立つことでしょう。

群馬県左官工業協同組合青年部員様のお洒落で粋なユニフォームです。
長谷川青年部長を中心として活動する皆さんの心意気、
左官に対する熱意を感じるデザインです。
そしてそのユニフォームを着る群馬県のパワー溢れる若人達の姿は、
これからの左官の世界に明るい光を見い出す頼もしさを表しています。

群馬の皆さんの技を吸収しようという貪欲な姿勢を拝見して、
共に左官業界の発展を目指す仲間に巡り会えたことをとても嬉しく思いました。
今後もご指導をよろしくお願い致します。

一日しか参加出来ませんでしたが大変勉強になりました。
講師の松木憲司様、藤田秀紀様、ありがとうございました。
群馬県左官工業協同組合の皆様ありがとうございました。
貴組合の益々のご発展をお祈り申し上げます。

※ソムリエ雑記再録のため現在と異なる情報が掲載されている場合がございますのでご了承ください。

土と石灰のソムリエ

冨澤 英一

富沢建材株式会社代表取締役。1953年東京都中野区生まれ。昭和26年に父が創業した建材店を2代目として継ぐ。顧客であった左官・故榎本新吉さんに幼少のころから可愛がられ、その縁で『左官教室』元編集長・小林澄夫さん、左官・久住章さん、全国各地で活躍する多くの名工、名人に出会う。以降、左官の技や自然素材に惹かれ、熱心に各地に足を運び、そこで産出する土や砂、石灰などの左官材料を集め、販売している。

関連雑記