左官革新の会 IN 滋賀
3月27・28日に滋賀県 土と竹の国
近江八幡、彦根、多賀に於いて、
毎年恒例のビックイベント 左官勇士の会 改め、
今回、江州左官 土舟 小林隆男氏が幹事企画する、
「左官革新の会」 が開催されました。
27日に全国のカリスマ左官が集結したのは、
財団法人 近江商人郷土館 です。
江戸時代に日本全国で活躍した近江商人 小林家の
後世に残る功績を充分に知る事が出来る素晴らしい郷土館です。
挾土秀平氏も到着。
全国からスーパースターが続々と登場です!
この日に合わせたかのように見事に満開の郷土館中庭の梅の花です。
そこへ小鳥も遊びに来てくれました。
郷土館1階広間において最初のテーマ、
有限会社 竹松 田邊松司氏による 「竹の話し」
の講演が行われました。
滋賀県は全国でも他には類を見ない優良な竹の産地です。
地元で古くから竹材の各種製品を製造する田邊氏の
ここでしか聞けない竹への思いを込めたお話を伺いました。
竹の種類、性質、伐採の時期、小舞壁に適応させる技術、
虫食い対策、異常気象の影響等、竹を愛する匠の講話は
カリスマ左官の皆さんの知識として今後の仕事に大いに役立つ内容でした。
その後、滋賀県が誇る究極の土、江州白土を使った大津壁の
体験会が行われました。
江州白の素晴らしさを確認する参加者です。
強者が生き生きする一時です。
いつでもどこでも、鏝を握ると真剣本気モードの皆さんです。
京都 奥田信雄氏の迫力の鋭い視線と気合いで熱血左官魂が、
若い左官職人さんの心と体にびしびしと叩き込まれていきます。
翌日28日は住友大阪セメント 滋賀鉱産㈱ 多賀鉱山内にある、
180万年前の火山灰、白土の地層を見学しました。
これがその気が遠くなるような大昔の白土です。
その前に立ち、思わず手を合わせてしまいました!
即、狙った獲物に飛びつくがのごとく、少量採取して土質をチェックします。
その結果は後日教えてもらうことにしましょう。
(注意:許可無く採取は出来ません)
場所は変わって、その近郊にある宝(色土)の山へ向かいます。
露出した土肌の美しい色合いにビックリです。
車を降りて皆さん一斉に山の上部へ登ります。
山全体が正に色土なんですね。
足下に目を向ければそこも綺麗なピンクや橙色の土です。
早速、土を削り取り袋に入れてお持ち帰りです。
新潟の宮沢喜市郎氏も白土の粘土質に関心することしきりです。
土を採取している姿も絵になる皆さんです。
京都 浅原雄三氏も白土の層を見つけて突撃です。
植田俊彦氏も白土を見つけました。
小沼充氏も土と戯れています。
左官を極める皆さんが、色土を見た時の何かに取り付かれたような滑稽な?
(失礼)行動は、その土の魅力を知る者、解る者だから自然と出る仕草なのですね。
見ている者まで幸せな豊かな気持になる春の運動会のような出来事でした。
原田進氏と山本忠和氏も色土の世界で満面の笑みを浮かべての散策です。
ワイルドなご両人、何か収録中の映画のワンシーンのような雰囲気です。
おや、鹿の足跡です。
何と愛らしい、そこは自然が溢れる色土の郷でした。
それに比べて・・・どこでもかまわず突撃した結果、ご覧のとおり。
これは何方のお御足でしょうか?
ぬかるみにはまり込んだこの方を見て、誰かの「やった」と喜ぶ声が聞こえたような!?
あっと言う間の2日間、江州の魅力たっぷりの土の世界に浸る事が出来ました。
小林隆男氏の故郷、氏の左官の技を育んだ地をやっと拝見することが出来て、
やはり左官の良い匂いがぷんぷんする粋な土処だなと実感しました。
「江州土舟」 の世界をもっともっと勉強したくなりました。
そしてこのまる2日間、これだけの強者が揃い誰もが熱く語る左官の物語を
たっぷりと聞かせていただきました。
止まるところを知らない究極の左官談議、どこまで奥深くどこまで続くのか!
そして、何と魅力的なのでしょう。
夢中で聞くうちに、左官の可能性は無限大であることをつくづく思い知った
2日間でした。
左官革新の会の皆様ありがとうございました。
小林隆男様、小舟様、田邊様、滋賀の皆様、本当にありがとうございました。
貴重な体験を今後に生かせるように精進してまいります。
追伸:この会では、東日本大震災についても話し合いが行われました。
被災地の左官職人仲間に対する支援活動を行うことを打ち合わせ、
早速持ち寄った道具類とカンパ資金を現地に届けることになりました。
今後も復興に向けて支援活動を続けて参りますので、
皆様のご協力をお願い致します。
冨澤 英一
富沢建材株式会社代表取締役。1953年東京都中野区生まれ。昭和26年に父が創業した建材店を2代目として継ぐ。顧客であった左官・故榎本新吉さんに幼少のころから可愛がられ、その縁で『左官教室』元編集長・小林澄夫さん、左官・久住章さん、全国各地で活躍する多くの名工、名人に出会う。以降、左官の技や自然素材に惹かれ、熱心に各地に足を運び、そこで産出する土や砂、石灰などの左官材料を集め、販売している。